6つの源泉のちょっとした裏話

草津の源泉は6つあるが、あまり知られていない裏話。

 

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湯畑の風景。湯を流して湯花を採取する

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 新聞の記事中には6つの源泉が草津にはあることが紹介されている。

 

 その6つとは、

  1. 湯畑源泉(ゆばたけ)
  2. 万代鉱源泉(ばんだいこう)
  3. 白旗源泉(しらはた)
  4. 地蔵源泉(じぞう)
  5. 西の河原源泉(さいのかわら)
  6. 煮川源泉(にがわ)

 である。

 

 草津温泉は酸性度の高い温泉で、一般には硫黄泉として知られているが、正確には酸性・含硫黄ーアルミニュウムー硫酸塩ー塩化物泉(硫化水素型)と呼ばれている温泉だ。

酸性泉であり、硫黄やアルミニュウム、硫酸塩が含まれていて、なおかつ塩化物泉であり、硫化水素も溶け込んでいるという意味合いである。

 

一言で言うと多様な成分が含まれている酸性泉。ということだ。

 

白根に降った雪の雪解け水が長い時間をかけて草津の町へ流れ込み、その流れ込む前に毛細血管のように地中を伝い各場所で自然湧出した。

 

その代表的なポイントが記事に上がっている6つの源泉なのである。

 

草津温泉は高温かつ、希少金属などの微量金属も含まれており、湧きだす場所によってPH(ペーハー)や含まれる成分が微妙に違ってくる。

それが源泉の性格に現れるのだが、その差を観光客が見分けることは難しい。しかし、古くは湯治の湯として使われてきた温泉であり、その微妙な違いも活用して温泉の利用を促進してきたこともあった。

今ではその違いを分かる人も少なくはなってきたが、記事で紹介されていないことも含めて補足させていただこう。

 

湯畑源泉

 

 草津温泉といえばほぼ、この湯畑のイメージがあるだろう。湯花を採取する樋があるのが特徴的だ。湯花は記事にあるとおり採取量は減っている。その原因が何なのかははっきりしない。温泉脈の変化という声もあれば、引用のし過ぎという声もある。いずれにせよ昔より湯量が減っているは確かだろう。

 古くは、今の滝のように流れている湯畑下部には打たせ湯があり、ほぼ無料で利用できたなか有料の浴場あがり、入浴していたらしい。

 そして今の足湯になっているところには、松の湯という時間湯があり、今の手洗い場になってい所には馬のための温泉があったという。

 

 昔の草津は湯畑周辺を指しており今のように開けてはいなかった。まさに湯畑といえば草津温泉そのものであろう。

 

 記事で紹介されているなかで気になるのは、八代将軍おくみ上げの湯であるが、湯畑の中にある碑は、もともと湯畑の下にあったものを現町長が移した経緯があり、碑が立っているところがくみ上げた場所ではないことは留意したいところだ。

 また、千代の湯の時間湯の源泉は湯畑ではなく、熱の湯源泉でありそれも千代の湯の共同浴場とは分けてみる必要がある。

 熱の湯はもともと時間湯が行われていた場所であり、今は観光スポットになったが、伝統的な湯治場であった。湯もみもショーとして行われている揉み方ではなくもっと豪快、かつ繊細な揉み方であり、その技術の継承はなされていない。

 

 湯畑の源泉からはさまざまな旅館、家庭へ湯が供給されているが、ハンセン病施設の楽泉園への供給パイプもある。遠く離れた場所でも湯を送ることができる草津温泉のパワーと湧出量はこのことを見ても日本一というのにふさわしいだろう。

 

万代鉱源泉

 

万代鉱の特徴はとにかく酸性度が高いので、入浴の刺激が強く人によってはちくちくするという感覚になる。肌の弱い人にはそのまま入るにはあまり向かない温泉である。

それもそのはず、この源泉は硫黄鉱から偶然に掘り当ててしまった湯で、自然湧出ではない源泉である。

他の源泉より高いところ、つまり山に近いところから湧くため温度が高く湧出量が多い。そのため多くの施設で利用されている源泉である。

 

白旗源泉

 

 白旗の湯ももともと時間湯があった湯である。現在の場所ではなく茣蓙の湯の隣の源泉の場所にあったという。

 昔は源泉の上に時間湯を建てるのが普通だった。今の共同浴場で観光客でも一番熱い湯が楽しめる場所である。その温度は時に48℃をあるのではないだろうか。草津では42℃を推奨しているが時間湯は潰してしまっても、健康上問題ある温度を使っても伝統を守ろうとしているのだろう。

 

地蔵源泉

 

 地蔵源泉はちょうど湯畑の裏にある小さな源泉で草津の中でも良質な湯が沸くと有名であり、ファンも多い。現在は開発がすすめられ徐々に整備されている。

 もとは時間湯を中心とする湯治場と湯治宿で構成されていたが時代の変化とともに湯治色は薄まっていった。記事には時間湯があるように記載されているが、現在の地蔵時間湯は町長の元、廃止となり湯治の歴史は終わっている。

 それは時代の流れではなく、町長の独自の判断で文化の継承が途絶えたのは問題がある。けっして光は当たっていない。

 地蔵区の整備に関しても箱モノ行政という批判も出ている。作ったはいいがコロナ禍で採算は見込めるのか。維持できるのかと不安はつきない。

 

西の河原源泉

 

 西の河原は湯畑同様、ライトアップがなされ幻想的な雰囲気がある。歩道、足湯も整備され人気の観光スポットとなっている。

 河原の中ごろに東京大田区の穴守稲荷の分社がある。

 その近くにあるのが鬼の茶釜と呼ばれる源泉が湧き出す岩がある。誤って入った人がやけどを負い救急車騒ぎになったことがあるくらい湯は熱い。湯畑など周辺で湯治のできない人がこの西の河原にきて入浴した話もある。

 

煮川源泉

 

 この6つの中では白根から一番下にある小さな源泉。源泉と湯舟が近いことから温度が保たれ地元のファンも多い。

 湯畑から離れているとはいえ、白幡に次ぐ高温が楽しめる湯である。浴槽は狭いがお湯は良質である。

 

 

 

 草津共同浴場は概してどこも温度がある。観光客が入れるのは白旗、地蔵、千代、煮川、あとはコロナの影響もあり、今は町民のための浴場となっている。

 気を付けたいのは入るのは、入浴は自己責任ということである。とくに飲酒後の入浴は危険である。毎年どこかの浴場で人が浮いている。

 また、地域の人の日頃の浴場でもあるためマナーを守って入浴されたい。そうして気持ちよく入れば、草津の湯はきっと旅の疲れをいやしてくれるだろう。