元草津町議長、和解なる。その舞台裏は?来年に向けての暗闘はもう始まっている。

 

 草津町の上級国民が揉めていた件

 

 日本一、新聞折込が大好きな町、草津町からこのほど最新の折込がなされました。

これは、以前に草津町議長を務めた、櫻井氏の固定資産税の件を発端とした訴訟騒ぎの経緯を載せた文章である。

 草津町議員の連名で発行された折り込みは、事件の経緯と和解に至る過程を議員側の目線で書いているものである。

 文章を追っていくと事のあらましはおおよそ分かるように時系列で書かれている。ぜひ一読してもらいたいが、問題は、なぜこの文章が折り込まれたのか、そしてその意図は何かというところがポイントになってくるだろう。

ご報告その1

 桜井伸一氏は、交通死亡事故を起こした、前議長の黒岩卓氏の前の前議長、つまり二代前の議長である。

 和解の内容であるが、

  • 櫻井氏が送った内容証明の内容について、また、町議会議員の活動の妨げになったことを謝ってくれということがまず1つ。
  • 双方の貸し借りは無しにしようぜがもうひとつ。
  • 最後に裁判費用はそれぞれが出してね。

 ということになっている。これで和解が成立。

 議会での発言が気にくわない、やったことが気にくわないから裁判で決着つけようようぜとなったが、時間も経ったし、そろそろやめるかという感じである。

 しかし、なんでこのようなことになり、どうして揉めたのかは以下に続く。

 

ご報告その2

 事の発端は櫻井氏の持ち家の固定資産税に関することだった。

 固定資産税の住宅特例は、一般住宅、小規模住宅の固定資産評価額を、6分の1、ないし3分の1で計算して、納税額を算定することができる。

 つまり、住宅であればこの特例を適用できるわけだが、コンビニ店舗には適用できない。これを当時の税務課長に直談判して適用をさせたとなっている。

 さらに併設されているホテルの部分を減免されていたということで、これをもとの課税に戻したところ猛抗議に至ったということだ。

 

 そして、上に敬意を伝える匿名の怪文書が、一部町民に送られたということだ。

ちなみに、匿名の文書はすべて怪文書扱いとなる。また草津は小さな町なので出所を知られたくないためこうした匿名の投書は他の地域よりあるほうだ。

 そして、議会に持ち込まれ、大騒ぎとなったというわけだ。

 

 

ご報告その3

 ここからは、議長への不信任決議からのごたごたで、ついには議員辞職勧告を町議の連中が出す。それに対抗して議長は攻撃してきた議員に対して、内容小委名を送り、訴刑事、民事で訟に発展する。

 また町議たちもそれに対抗して準備をしていた矢先に櫻井氏からの取り下げが提出、それに対抗しての取り下げに応じないの今度は櫻井氏が放棄の手続きで裁判終結

 それで裁判所が、面倒だから和解してからの和解勧告で現在に至るという話。

 

最後その4

 結局この事件は何だったのか

 

 単なる権力者の争いともとれるこの一連の事件は、和解によって決着がつくこととなったが、そもそもの原因は

 固定資産税の特例が適用されていたことへの是正が行われたことに、納得のいかない櫻井氏が抗議の行動に出たことである。

 

 見直しがあったのは良いとして、そもそもなぜ今まで減免になっていたのか? 議長という立場、町議という立場にあったから減免されていたとすれば、それはそれで問題である。

 しかし、見直しが行われた経緯についてはどうなっているのかは言及されていないからはっきりしたことはわからない。少なくとも特例が続いていたことに関しては町議という立場にあったからとみられても仕方のないことだからそのあたりは是正されるのは当然だろう。

 

 次には怪文書が何故、出たのか出した人間と受け取った人間が誰だかはっきり書かれてはいないが、おそらく議会に上がるのを見越しての怪文書だったのだろう。リークした側の意図は完全に櫻井氏の告発なので、その裏には、それに至る経緯があったのかもしれない。

 

 第三の謎は、黒岩町長が告訴の当事者に含まれており、櫻井氏の発言でその背景には町長選への出馬の妨害を画策したとある。

 出馬の妨害にこの固定資産問題の話が絡んでいるとなれば、弱みを握って潰しにかかったとも見て取れる言い回しである。

 現草津町町長は黒岩氏なので、この折込に書かれていない櫻井氏と黒岩氏の間でなにか揉め事があったのではないかと受け取れる。その部分が表に出ることを期待するところである。

 

 何故今この文書が折り込まれたのか

 

 この裁判の和解の文書がなぜ折り込まれたのだろうか。もちろん日本一折込好きな草津町なので、町民に広く知れ渡らせたいという意図は働いていると思う。

 ではなぜ、広く知れ渡らせたいかということだが、ご存知のように櫻井氏は元議長であり、町議である。そして来年には町議選が控えている。

 察しの良い諸兄ならお分かりいただけただろう。つまり選挙対策であるということだ。今草津議会では、町議の議員定数を12人から10人に縮小しようという議論がなされている。

 建前は、人口減少期にある草津町に見合った定数の是正ということだが、実情は少々趣を異にする。

 というのは、今年行われた町長選において黒岩町長が再選を果たしており、黒岩政権が持続している。となればなんとしても反対派の議員が当選するのは非常にまずいわけである。

 その急先鋒が櫻井氏を筆頭とする櫻井派の候補者、さらに補欠選挙に立候補した時間湯派の井田氏。先の補欠選挙で当選した、小林氏からの提案が議員の定数削減というところからも政治的意図が感じられる。

 さらに、アクシデントではあるが議長であった黒岩卓氏が交通事故を起こして自ら議長と議員の職を辞したことも影響していると思われる。

 つまり、この折込は単なる報告ではなく、次回の町議選に向けての戦略という意味合いが強いように感じられる。

 そうして読み解くと、櫻井元議長への風当たりの強い文章であり、櫻井氏の主張が載らない書き方は納得いくのではないか。

 

 小さな町の争いは日本の縮図である。権力を持った人は自己の都合の良い政治を行うために権力を使い、反対する者を潰していく。

 これは政治の常であり、権力がある限りなくならない。しかし、その事故に都合の良い政治家必ずしも町民の求めている政治とは限らない。ただ単に自分勝手になっている可能性もある。

 それを常に監視するのが議会であり、そもそも議会が機能するためにはある程度の多様性があってよいと考える。今の草津議会のようにほぼオール与党の体制では、実上は違うかもしれないが、一党独裁政権であると言われても仕方ないのかもしれない。

 この先の選挙がどうなるか判断がつかないが、オール与党確保VS反町長派の戦いは現在進行形である。