リコールで判明した。現草津町長の実力と強固な権力構造

 

 草津温泉で町政史上初のリコール問題。町の権力者総出で新井議員を叩き潰したいその理由

 

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www.jomo-news.co.jp

 記事によると有権者5383人に対して3292人の署名が集まったと書かれている。不在やら仕事などで参加できない人もいただろうから、殆どがこの署名に参加したことになるだろう。

 町の有力者である議員が総出で活動した結果である。賛成した議員は旅館経営者、元経営者、創価学会共産党も含まれており、その人脈を活かして集めたことがこの数字に見て取れる。さらに草津町は地縁血縁の他に同級生の先輩、後輩というつながりもある。それを総動員すれはこの数字も達成可能だろう。

 

 
なぜ署名が集まったのか
 現町長へのセクハラ告発に端を発していることには間違いないが、それにしてもこの驚くべき数字を叩き出したのには、何か裏の事情があると感じる。
 ここまで新井議員を追い詰めて政治的活動を奪う理由はセクハラ問題だけではないような気がする。
 
 噂の範疇を超えないがニュースサイトではないので書いていくと。
 
  • 恨みを持つ人物が議員、町民問わず多く存在する。
  • 町長の政策に反対したため逆鱗に触れた。
  • 町長側に知られたくない事実があるため全力で潰しに来ている。
  • 単なる政治的権力闘争だ。 

 このような話が出てきている。

  

草津町の権力構造
 

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 このリコール問題で改めて浮き彫りになったのが町を管理する支配システムだろう。大げさと取るかもしれないが、草津の町は民主主義的なシステムをとりながらある意味共産党一党独裁の政治手法が取り入れられている珍しい町である。
 
 その根幹を支えるのが東の横綱としてコロナ禍でも客を集めることのできる温泉である。この温泉利権に与れるのがホテル・旅館経営者であり、それが代々議員や町長を務めてきた。またその議員の一族が町の地縁血縁で繋がっており、金と情報が流れるシステムが出来上がっている。
 さらに従業員は旅館・ホテル経営者の下にあり、ある程度の生殺与奪の権利を持つがゆえ言うことを聞かせるのも可能になる。観光業を主体とする町で職業の選択幅がないため、権限はより一層強まる傾向にある。
 また、政治と経済が相関関係にあることで外部からの資本流入を抑えて自分たちで経済を回す仕組みともなっている。 
 草津温泉の規模が小さければここまでにはならなかっただろうが、経済のパイが近隣とくらべて大きく、その既得権益を守ろうとする構造ができたのも自然な流れだろう。考えてみれば良くできたシステムである。
 
 
  
集約型の政治
 

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さらにはこの町の組長たる町長には、絶大な権力が与えられる。役場職員の人事権。行政の決定権。そして議会を掌握すれば予算の決定権も握れる。さらには温泉配当の決定権。各組合、協会、その他団体への予算、人事にまで介入することが出来るためその権限の幅は大きい。
 
 良い面としては、実際の行動のスピード感が挙げられる。コロナの影響下において給付の1万円上乗せ、検査の無料化などは即断できる実効性が有効に働いた。
 悪い面としては、間違った方向に進んだ場合、軌道修正は極めて困難と言えるだろう。議会においてはホテル・旅館経営者の温泉利権を掌握し、集客にも口を出せるためおいそれと逆らえないだろう。町職員も忖度をして逆らえない。
 
 つまり、大幅な権限は行政をスピーディーに動かせる反面、悪い方向についても口が出せないことになる。ある意味、中国共産党の支配する中国と似たような構造だ。町長(書記長)には強い権限が与えられ、議会(全人代)を掌握すれば逆らうものはほどんどいなくなる。町には町長を支持する町民(共産党員)がおり、搾取されるのは関係する従業員とその家族という構造が出来上がる。
 
 誤解しないでもらいたいが、このことが良い悪いではなく、そうした構造の上が長年続いているという事実を述べているだけである。歴代町長は有力旅館・ホテルのオーナーが就き、現町長は燃料会社の経営者で旅館関係者ではないため、更に強権を強めて、政権を維持している。
 政治はホテル・旅館を優遇し、福祉や住民サービスは後手に回る(やっているとアピールしているが不十分であることは否めない)
 
 
 
まとめ
 今回のリコールの集計において、町長の実力が測らずも依然として力強いということが証明された。一人の議員を辞めさせることは大変な労力を要するが、それだけ有権者の票というものが大切である裏返しでもある。
 しかし、リコールを町総出で達成しようとしているのだから恐れ入る。
 なぜリコールが起きたかの理由については、セクハラ事件の他にこうした権力構造の逆鱗に触れたことに原因であるような気がする。新井議員は他所から来た人であり、町初の女性議員である。異質な人であり、女性が政治に口を出すことを良くないと思う人もいる。また、草津の時間湯の開発について反対意見が出たことに端を発しているという話もあり、このあたりに政治的思惑が働いたのかもしれない。
 いづれも憶測の域を出ないが、前述したように草津の統治システムが既存の権益を脅かされたときに防御機能が働いたがため、今回のような騒動に発展したのではないか。